バリキャリ乙女のイド端会議室

主に婚活、時々しごと。華麗なるバリキャリの脳内会議の一部始終。

『スーパー歌舞伎Ⅱ ワンピース』御園座公演を観に行ってきました

こんばんは、年間300日スーツで過ごす女、乙女イシイドです。

 

千秋楽まで日がないけれどレポさせていただきます。
スーパー歌舞伎Ⅱワンピース』御園座名古屋公演を観にいってきました!

 

 

スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)』とは

 

私の愛する市川 猿之助さまの『スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド) ワンピース』が名古屋御園座にやって来た。

 

先月は御園座四月柿落し公演で、古典歌舞伎の雅な世界に触れてきました。
今月は『スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)』


簡単にいうと現代風演出の新しい歌舞伎のことをいいます。

 

元々、『スーパー歌舞伎』は三代目市川 猿之助(現:二代目市川 猿翁)が始めたもので、伝統的な歌舞伎の様式(台詞の節回しや見得、隈取など)を踏襲しつつ、現代人の感性感覚に合った壮大な舞台を作り上げました。


今の四代目市川 猿之助がその精神を引継いだのが『スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)』
現代音楽やダンス、プロジェクションマッピングなどの効果はもちろん、キャストやスタッフも歌舞伎界にこだわらず幅広く参加している総合舞台芸術なのです。

 

『歌舞伎ワンピース』(以下歌舞伎版ワンピースを『歌舞伎ワンピース』と表記いたします)はその第2作となります。

 

 

イヤホンガイドが超豪華

 

歌舞伎は『何を言っているかわからない』と印象がありませんか?


独特な台詞回しや発声法、古語…
でも、『スーパー歌舞伎』は台詞はほぼ、現代の言葉ですから難しいことはありません。

 

以前、イヤホンガイドをオススメしましたがこの『歌舞伎ワンピース』はガイドがなくても全然問題ありません。
私も一応、イヤホンガイドを借りましたが、ほとんど『ワンピース(原作)』についての解説です。
ですから、イヤホンガイドさえあれば『ワンピース(原作)』を知らなくてもストーリーについていくことができます。


じゃ、原作ファンならイヤホンガイドはいらないかというとそんなことはないんですね。

今回のイヤホンガイドはとっても豪華なんです。

 

今回のイヤホンガイドはガイド役で俳優の谷原章介さんが登場します。
谷原さん、ソフトなすごくいいお声。
しかも変なクセが全くなく物語を全く邪魔しません。
こんなにステキだと思ってなかったので思わぬ拾い物をした気分。

 

それから、アニメ版の声優さん(ルフィ:田中真弓さん、ゾロ:中井和哉さん、サンジ:平田広明さん)からの応援メッセージなど、ファンならうれしい企画で満足できること間違いなしです!

 

 

歌舞伎版『ワンピース』

 

さて、『ワンピース』といえば、

 

「海賊王に、オレはなる!」

 

の台詞でお馴染み、累計発刊部数が世界で4億3000万部を突破したという超人気コミックスです。
現在(2018年5月)第88巻まで刊行され、まだ連載中という長い物語です。


スーパー歌舞伎Ⅱではそのうちの『頂上戦争編』を舞台化しました。
『ワンピース』第1部のクライマックスで、いつもあっけらかんと明るいキャラクターたちがもう立ち直れないんじゃないだろうか、というくらいの試練が次々と襲いかかってくる少し重めのエピソードとなります。


とはいえ。

 

 

という感想がでる楽しい舞台。
まるで作品の中に入り込んでしまったような。
実は私、村人3の役で出演してたんだよね?と錯覚してしまうくらい舞台との一体感が感じられる作品でした。


だから観劇後の感想が『面白かった』ではなく『楽しかった』となるんです。

 

 

スーパー歌舞伎ならではの演出

 

さて、そんな一体感はこんな演出から生まれてきます。

 

 

水の演出

 

新生御園座から、舞台上で大がかりな水を使った演出ができるようになりました。

 

極悪犯罪者ばかりを集めた監獄島・インペルダウン。
ルフィは義兄、火拳のエース(平 岳大)を救うため潜入するが時すでに遅く、エースは処刑の地に移送されてしまう。
ルフィを脱出させるため、ダチでニューカマー拳法の使い手、ボン・クレー(板東 巳之助)と革命軍のイナズマ(中村 隼人)は崩壊しゆくインペルダウンに残り獅子奮迅の活躍をみせる。

 

二幕、終盤の見どころです。
舞台に巨大な滝が表れ、その滝を切り裂さく殺陣のシーン。
水も滴るイイ男(とオカマ)が見得を切ります。

 

カッコいい~っっ!

 

10tもの水が降り注ぎ、敵も味方もプールに飛び込み暴れまくるので、ユニバーサルスタジオジャパンの『ウォーターワールド』ばりに水をばっしゃばっしゃかかります。

一応ね、御園座さんからはビニールシートの差し入れがあります。

 


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私は端の方だったのでかからないだろうと思ってたら甘かった。
海兵のみなさんがスライディングしてくるのでバッチリかかりました。
お隣のご婦人がお着物だったので

 

「もぅ~サイアク」

 

とはおっしゃってましたけど、その語尾にはハートマークが見えました。

 

とにかく水の量がハンパないのと、アクションの派手さに、自分も逃げ惑う囚人の一人になった気分でこのパニックを楽しんだのでした。

 

 

宙乗り

 

続いては『宙乗り』です。
歌舞伎ではお馴染みなんですけどね、宙乗り
役者がワイヤーでつられて客席の頭上を移動します。
古くは江戸時代から行われていましたので定番といえば定番なんですが、この『ワンピース』ではこの上なく効果的に使われています。

 

まず、このあと詳しくご紹介しますがルフィがインペルダウンを脱出しエースを追うシーン。
これは定番の花道の付け根から三階席まで。

 

もうひとつは白ひげ・エドワード・ニューゲート(市川 右團次)率いる白ひげ海賊団が海軍の攻撃にピンチに陥ったとき、白ひげ海賊団一番隊長マルコ(尾上 右近)が不死鳥となってその窮地を救いに来るというシーン。
こちらは三階頭上から花道へと降り立ちます。
この宙乗りでは、公演も終盤のに差し掛かった頃に、新たに紙吹雪を撒き散らす演出が加わったそうです。
終盤になってもブラッシュアップを怠らないこの精神。


どうですか?
何度でも来たくなるでしょ?

 

そして、みっつめ。
ついに海ろう石の手錠から解き放たれたエース。
海軍大将の青雉・クザン(市瀬 秀和)との対決シーン。
炎を操るエースとすべてを凍らせる氷結人間クザン。
舞台中央からクザンが勢いよく助走をつけて客席へ飛び込みます。
観客の上をグルグルと飛び回り遠心力で吹雪がまき上がります。
ルフィはこの攻撃で氷付けになってしまうほどの威力。
観客はエースと一緒に青キジの術を受けたように感じられる演出です。

 

ゆっくりと移動する宙乗りというよりはフライングといった方がイメージしやすいかもしれません。

 

 

ファーファータイム

 

なんじゃそりゃ?
ですよね。

でも、このファーファータイムが楽しみでリピートするファンも多いハズ。


『歌舞伎ワンピース』には主題歌があります。

 

ゆず 『TETOTE』

 

初演時は女性アーティストが歌っていましたが今回はゆずのお二人が歌っていて、幕間でビデオメッセージを届けてくれました。

通常、上演中は立ち上がったり声を出したり、大きな音を立てるのはご法度ですが、このファーファータイムは

 


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この!
スーパータンバリンで一緒に盛り上がろうぜ!
というもの。
ゆずのキャッチーで思わず口ずさんでしまう楽曲にのせて、キャストも観客も歌えや踊れやのお祭り状態となります。

 

もちろん、イシイドも買いました。
そりゃ買うよ。
ガンガンにタンバリンを振りまくってアピールすると役者さんたちがハイタッチしに来てくれるんだよね。

 

猿之助ルフィもサーフボードに乗っての宙乗りで会場中をゆっくり巡ります。
スノボのエアを決めるようにポーズをとってくれたり、タンバリンを突き上げて盛り上げてくれたり。
ライブ会場さながらに会場が一体になります。

 

だけどね。

 

この時、ルフィは戦地に向かっているのです。
たくさんの笑顔と手拍子に送られながら。
死にに行くような無謀な戦いに挑むのです。

 

そして、その先に残酷すぎる結末が待っているとも知らずに。

 

 

原作付き実写化について

 

さて。
もう少しお付き合いくださいませ。
人気のある原作の映像化には色々とご意見がでるものです。
私も最初は

 

は?歌舞伎でワンピース?ないでしょ!

 

と思いました。
場合によっては四代目市川 猿之助の名にキズがつくとも思ったくらい。

 

だけど、わかってもらえるよね、私のこの興奮を。

 

映像化に対しての不満はほぼ

 

イメージと違う。

 

でしょう。
キャストやストーリー、全ての人を満足させるものを作ることはできません。
だけど、この『歌舞伎ワンピース』はたぶん誰も想像できなかった。
やるよ、といわれても全くイメージがわかないから、イメージと違いようがないのです。


むしろそう来たか、と。

 

正直なところ、猿之助ルフィは原作ルフィとは似ても似つかない。
中にはここまで原作を忠実に再現したかというキャラクターもいるので、再現はできたと思うのです。


でもやらなかった。

 

それが四代目市川猿之助の恐ろしいところ。

 

私たちの想像を越えて越えて、さらに越えてくる、エンターテイメントモンスター四代目市川猿之助

 

あなたも、是非その才能を目の当たりにしてください。