バリキャリ乙女のイド端会議室

主に婚活、時々しごと。華麗なるバリキャリの脳内会議の一部始終。

戦友が死にました~昔の婚活相手の『今』を想像して本当の気持ちに気づいた話

気がつけば、2月。

こんばんは、年間300日スーツで過ごす女、バリキャリイシイドです。

 

燃えるような恋ではない。
だけど、気がつけばふと思い出す。
そんな心に棲みついた人はいませんか?

 

 

私がブログを始めた不純な動機

 

忘れられない人がいました。

 

それは婚活サイトで出会った彼氏と別れ、また婚活サイトに戻った頃のことです。
その彼、『月読の君』とも婚活サイトで出会いました。

 

月読の君

異業種ではありましたが、同じ営業の仕事をされていてノリもよく、楽しくやり取りをしておりました。

婚活で出会う男女のやり取りは独特の、ヌメリというかヨドミというか。
そういう特殊な雰囲気があるものですが、この方からはそれがなく、明るくさっぱりとしていて、毎晩のLINEを楽しみにしていました。

 

彼がなぜ『月読の君』なのか。
それは、出会って二週間ほどしたころでしょうか。

 

『今日はめちゃめちゃ月がおっきいですよー』

 

と送ったところ、

 

月がきれいですね………ってまだ会ったことねーし!』

 

『お、知ってましたか (^ー^)』

 

『かろうじて、知ってました (^_^;)』

 

なんてやり取りをしたからです。


夏目漱石の有名なエピソード。
漱石先生が教師をしておられたころ、英語の『I love you』を『月がきれいですね』と訳しておけば日本人には伝わる、と言ったとか言わなかったとか。

 

その後、

 

『こうしていても何ですから、そろそろお食事にでも行きませんか?』

 

こうして直接お会いすることになりました。

 

実際にお会いしてみると、お写真よりもずっと素敵な方でした。

 

今の仕事に至るまでのお話、ダメになってしまった恋の話。
今のこと、昔のこと、たくさんお話しました。


楽しくてあっという間の時間でした。

笑顔で手を振って、

 

そして、連絡は途絶えました。

 

 

『日記』という名のブログ

婚活ではよくある話なのです。

初めてお会いして、会話も盛り上がったのに「なんで!?」ってこと。
イシイドだってバカじゃありません。
何度も繰り返せばさすがに分かります。
お食事のお礼に送ったメッセージの返事が

 

『こちらも楽しかったです。明日からもお互い仕事を頑張りましょう』

 

だったから。

お休みが一緒で、家も近くて、職場も近くて。
もしもお付き合いすることになったら、笑っちゃうくらい都合がいい。
そんなんだったから、胸にぽっかりと穴が空いてしまったようだった。

 

ぼんやりとサイトを眺めていると『日記』の文字が目に入った。
『日記』とは、異性だけが閲覧できるサイト内ブログサービス。
通常はマッチングしないとメッセージのやり取りはできないルールなのだけど、『日記』には自由にコメントをつけたりできるのです。

 

もしかしたら、彼も見てくれるかもしれない。

 

月読の君も『日記』を書いていました。
プチバズを経験したことがあるそうで、盛んに私にも勧めてきたことがあったのです。
その時の私は、喋るのは得意でも書くことは本当に苦手で。
夏休みの宿題も読書感想文が最後に残るような子供だったので「無理だよ」と断っていたのです。

 

もしかしたら、もう一度私に興味を持ってくれるかもしれない。

 

これが、私がブログを始めた不純な動機です。

 

ただのFacebookのようなものでは面白くなかったので、男性に向けた『婚活のダメ出し』『婚活指南』のようなことを始めてみました。
これが意外と好評で、少ないながらも固定客がつきました。
やはり反応があるというのは嬉しいもので、婚活そっちのけで『日記』執筆にいそしむ日々となったのです。
このブログの最初のころ、20記事くらいはこの時の『日記』に加筆したものです。

 

彼が私の『日記』を読んだかどうかは分かりません。
最初で最後のデートから10日ほどして、彼のプロフィールは閲覧できなくなったのです。

それは彼が退会したか、私がブロックされたかのどちらかを意味しました。

 

 

もうひとつのブログ

さて、完全に関係を絶たれたように思えた月読の君でしたが、彼にはもうひとつのブログがあったのです。

それは会社のブログ。
社員さんが代わる代わる執筆するスタイルで、彼も数ヵ月に一度、登場していました。

 

……………ストーカー…………?

 

いえいえ。
ちゃんと許可済みです 笑
やり取りをしていたころ、彼の方から「ぜひ見てよ」と言ってきたのですから。


普通は、特にネットでは、こういった個人が特定できてしまう情報は隠したがるものですが。
彼はこういうところが人懐こいというか、迂闊といいますか。

さっぱりしていたのだと思います。

 

もしも今、あなたが彼のFacebookTwitterを覗き見しようとしているなら、おやめなさい。
悪いこと言わないから。

大抵見つけてしまうのですよ。
宝庫ですね (^_^;)

 

日帰りでは難しい遠近距離の旅先での写真。
一人旅では撮れるはずのないふざけたポージングの後ろ姿。
こじゃれたカフェでのランチ。
少し見切れたもう一人分のお皿。
『今年はプライベートでも変化があるかもしれません』

 

ああ、やっぱりそういう人がいたのね。

 

悲しく…はなかった。
なぜかハラ落ち。
すっきりした気分だ。
願わくば。
私とのデートで『やっぱりこの娘しかいない』と腹をくくってくれたのだとしたら、こんな幸せなことはない。
私ほどのあて馬は他にないでしょう?
きっと素敵なひとだ。

 

そしてこの後、一年近くこのブログを開くことはなかった。

 

 

失って気づく本当の気持ち

そして私はネット婚活を卒業し、はてなブログでブログを書き始めました。

うようよ曲折しながらも別のステージで婚活を続け、ありがたいことに、秋にはパートナーを見つけるにいたった。

 

これまでの婚活相手との連絡先ややり取りの履歴はさよならする度に消去していたのだけれど、LINEだけはブロックもせずに残してありました。
未練ではなく、ストーカー対策ね。
以前、ストーカーは相手との連絡が取れなくなることで突然職場や自宅付近に現れることがあると聞いたことがあったからです。

 

スマホの機種変更をしていたのでトークの内容も残っていませんが、なんとなく習慣で非表示にしたまま。
さすがに消去してもいいかな、と非表示リストを開いてみると。

 

誰…?

 

知らない名前があるのです。

株式会社◯◯/安田□□

 

あっ!

 

思わず声がでました。
月読の君の会社です。
そういえば、お食事の時も会社から支給されているという社用車でやって来た。
携帯電話も会社からの支給品だったのだ。

あわてて株式会社◯◯のHPを開きブログを遡ります。
彼の名前は半年以上遡ってようやく出てきました。

 

そっか、辞めちゃったんだ。

 

そして、初めて泣きました。

 

彼は最初の仕事で苦労し、流れ流れて何の所縁もないこの名古屋にやって来ました。
大手でもない小さな会社だけど、よい社長に出会えた。
この仕事に向いているし、このままこの会社に骨を埋めるつもりだ。
そう誇らしげに言っていました。

 

私は新卒で入社してからずっと同じ会社、同じ部署にいます。
ただ長く勤めたことは誇りだけど、今でも『向いてない、いつまで続けるんだ?』と自問自答を毎月どころか毎週だって考えてしまいます。


そんな私だから、堂々と前を向く彼が眩しく憧れたのだと思います。

 

うそつき。
骨を埋めるって言ったじゃない。

 

彼に、彼女がいるのだと確信した時よりも。
彼と連絡を取る手段が途絶えたと分かったときよりも。
彼が仕事を辞めたかもしれないことの方が悲しかったのです。

 

私は勝手に、彼を戦友のように思っていたのだと思います。
私は、家族にも親友にも、パートナーにも恵まれた幸せ者です。
それでも、女が仕事という戦場に立ち向かうときは、やはり独りなのです。
だから心に、共に戦う戦友が必要だった。

 

だけどその戦友は死んでしまった。

 

私は非表示リストの安田くんをそっと消去する。
するしかなかった。

 

 

一周年に向けて

 

ごめん。
思い出して号泣。
なんだっけ?

 

そうそう。
このブログ『バリキャリ乙女のイド端会議室』は、あと1ヶ月でちょうど一周年を迎えます。
本当に文章を書くことが苦手だったワタクシがよくもまあ、続いたこと。
でも、あの『日記』を書くことなくブログを始めることはなかったであろうから、そのきっかけをくれた月読の君には感謝しています。
ごめんね、勝手に殺して。
すべては状況からの推測なので、もしかしたら今もあの社用車で名古屋の町を走り回っているのかもしれない。

 

心に棲みついていた彼を追い出して、私も一周年に向けてしっかりと駆け抜けていきたいと思います。

さあ、一周年では何をしようかな ♪ (〃∇〃)ノ